続きは、社長室で。2
私が身体を使って、拓海を靡かせた・・・?
今まで出退勤のトキは同行義務があったし、ずっと拓海の後ろについていた。
それまで散々ワザと聞こえるように、誹謗とかは言われていたけれど。
秘書だから仕方が無いと…、ただ俯いて、ひたすら歩いていたのに…。
だけれど拓海が隣にイナイ事が…、これほど外聞を変えてしまうの?
私が一般人だから…、身体で手に入れたと思われているの…?
それとも私なんかが婚約者だから…、やっぱりダメなのかな?
“秘書は今日から全部、桜井が受け持つ事になる”
“私たちは貴方と違って、秘書のプライド持ってるし?”
「っ・・・」
どうすれば、このモヤモヤは消え去ってくれるの?
嘲笑と下品な言葉の往来に我慢出来ず、なりふり構わずに走り出した。
出口の自動扉ですら、開くのがもどかしいほどの勢いを出して…。
社長である拓海に、こんなキモチを言えるワケがない――
だから私は、とにかく東条グループから脱出したかった・・・