続きは、社長室で。2
この社長室…、いや・・・
俺の傍を離れた時こそが、最も蘭を苦しめる――
そう解っていながら、仕事に感けて引き止める事が出来なかった。
「まぁ、多分大丈夫だろうけど・・・
今から秘書課行って、蘭ちゃん連れてソッチ行くわ」
「あぁ、頼む・・・」
そんな祐史に感謝をしつつ、手早く通話終了ボタンを押した。
“大丈夫だろうけど…”
遠まわしに気遣った祐史の言葉にも、募る不安が拭い去れない。
本当は追い掛けたかったが、昨日の分の仕事に阻まれて叶わなかった。
蘭を待たせる時間を、少しでも減らそうとしていたが為に・・・
だからこそ、ようやく身軽となれた“今”は心配で仕方ない。
何となく胸騒ぎというか…、イヤな予感が立ち込めていく・・・
バンッ――
すると突然、社長室の重厚な扉が一気に開け放たれる。
「蘭ちゃんが、いなくなった!」
息を切らした祐史が齎したのは、予感を的中させるモノだった・・・