続きは、社長室で。2
蘭が…、いない・・・?
バタンッ――
再び乱暴に閉ざされたドアの音が、静寂の中に響き渡った。
「…どういう事だ?」
眉根が寄りそうになるのを耐えて、冷静な物言いに努める外なく。
言葉少なく尋ね返す事しか、とても出来なかった。
「オマエに言われた通り、まずは秘書課に行ったんだよ…。
でも蘭ちゃんはいねぇし、目星つけて色々探したんだが…。
そしたら、外へ出て行ったトコを見たヤツがいてさ・・・」
相当走り回ったのか、屈強な身体は未だに息を切らせている。
確かな情報のみ報告する祐史は、昔からの馴染みであるからこそ。
蘭が社内にはいない…、そう確信した・・・
「・・・悪いが、あとは頼む――」
「あぁ、何かあれば連絡するわ」
返事の変わりに頷いたあと、仕事の為に脱いでいたジャケットを羽織って。
バンッ――
そのまま祐史を置き去りに、静かな社長室を飛び出した。