続きは、社長室で。2



節々で浮かぶ“しきたり”に、今日はウンザリする・・・




ランボルギーニのドアが跳ねるように開くと、サッと乗り込んだ。



まずは蘭の携帯電話に連絡を入れたが、留守電へと切り替わってしまい。



電話に出ないという初めての事態に、予感が不安へと変わっていく…。




思いつく限りの場所を探そうと、急いでエンジンをつけると。



独特のエンジン音が轟かせ、焦りから自然とアクセルを踏み込んでいた。




朝はこの助手席で、蘭が笑っていたというのに・・・




だが、どれほど蘭が大切であっても、東条の名がソレを制していく。



こうして探している今も、頭の片隅で仕事がチラつくのも事実だから。




それでも俺にとって、蘭は何よりも大切なんだ…――




こんな中途半端さが、オマエを傷つけているのか…?






“拓海、あたし待ってる…。

アメリカに行っても頑張ってね?”



旅立つ時に掛けられた言葉と笑顔が、未だに蘇って来るほど。




守り抜くどころか、結局オマエが俺の原動力だったな・・・





< 41 / 226 >

この作品をシェア

pagetop