続きは、社長室で。2
節々で浮かぶ“しきたり”に、今日はウンザリする・・・
ランボルギーニのドアが跳ねるように開くと、サッと乗り込んだ。
まずは蘭の携帯電話に連絡を入れたが、留守電へと切り替わってしまい。
電話に出ないという初めての事態に、予感が不安へと変わっていく…。
思いつく限りの場所を探そうと、急いでエンジンをつけると。
独特のエンジン音が轟かせ、焦りから自然とアクセルを踏み込んでいた。
朝はこの助手席で、蘭が笑っていたというのに・・・
だが、どれほど蘭が大切であっても、東条の名がソレを制していく。
こうして探している今も、頭の片隅で仕事がチラつくのも事実だから。
それでも俺にとって、蘭は何よりも大切なんだ…――
こんな中途半端さが、オマエを傷つけているのか…?
“拓海、あたし待ってる…。
アメリカに行っても頑張ってね?”
旅立つ時に掛けられた言葉と笑顔が、未だに蘇って来るほど。
守り抜くどころか、結局オマエが俺の原動力だったな・・・