続きは、社長室で。2
煩慮の、始まり。
東条グループを抜け出した私は、トボトボ街中を彷徨うように歩いていた。
とても会社に戻る気にはなれず、都会の騒音に紛れていたかったの。
グルグルと駆け巡る言葉の往来を、街の喧騒が消去してくれそうで・・・
“最低…、プライド無し、節操なし”
インプットされた言葉を勝手に変換し、ネガティブ思考に陥っていた。
何も知らない人から見れば、そう見えても仕方がナイのかもしれない。
社長を誑かせて社長秘書の座に易々と得た、プライドのナイ女だと…。
だけれど中傷の言葉たちは、ただ付属の理由でしかなくて・・・
拓海に秘書として必要とされてないコトが、何よりも堪えた。
貴方へのキモチを支えに、必死で不慣れな仕事に奔走していたのに…。
「っ・・・」
ホラ…思い返すだけで、グッと込み上げてくる。
これだけの事で、貴方を支える自信を失いそうな私は愚弄だね…?
“俺の傍を離れるな”
離れたくない…、一生、貴方の隣で笑っていたい…。
それなのに逃げた自分のコトが、よく分からないの…――