続きは、社長室で。2
高ヒールのパンプスで歩くのも、さすがに疲れてしまって。
吸い込まれるように、目についた一軒のカフェへと入店した。
アイスコーヒーを注文すると、そのまま席について少し口をつけた。
アレンジコーヒー以外では、コーヒーは必ずブラックで飲んでいるけれど。
芳ばしい香りとほろ苦くて抑揚のナイ味に、悲しさを覚えたの。
この味に慣れてしまった私は…、オトナぶっているだけだから・・・
“お袋は蘭の辛さを汲んで、敢えて俺の秘書に置かせたんだ”
頬にリップ音を立てて、優しいキスを落とした拓海の言葉が蘇る。
奥様の計り知れない優しさが、私たちを結んでくれたというのに。
色々ありすぎた出来事は、弱い私を鍛えてくれた筈だというのに。
諦めていた未来が開けて、愛しい貴方と一緒になれるというのに。
どうして私はこんなにも、すぐに砕けそうになるの…?
貴方への愛証だけが増しても、煮え切らない想いが情けないよ・・・