続きは、社長室で。2
呼び掛けに反応して振り返れば、そこには懐かしい人が構えていて。
「涼太くん!」
「よっ、久しぶりだな!」
大学時代に同じ天文サークル仲間だった彼は、涼太(リョウタ)くん。
割と仲が良かったけれど、会ったのは卒業して以来だった・・・
「そうだよね、もうすぐ1年経つしね?」
「ホントだなー、蘭は休憩中?」
「っ…、うん・・・」
サボリ中だなんて言えずに、コクンと頷いてしまう。
「そっかー、ほら俺、銀行に入っただろ?
やっと研修が終わって、外回りにも慣れてきたトコなんだ」
スーツ姿で荷物を携えている彼は、如何にも仕事中の様相で。
活き活きしている姿を見ていると、心がギュッと締まっていく…。
「蘭は、東条グループで働いてるんだよな?
どんな仕事してんの?」
「っ…、一応、秘書…かな?」
こちらへと話が及んでしまって、そう口にするにも勇気がいった。
「へぇー、すげぇじゃん!」
「っ・・・」
屈託なく笑う涼太くんに、居た堪れなさだけが増すというのに・・・