続きは、社長室で。2
だって私は…、誰にも必要とされない秘書だもの・・・
「っ・・・」
「蘭…、どうかした?」
上手く笑えずにいると、心配した声色で尋ねられてしまって。
「っ…、っ・・・」
その優しさが胸に沁みて、ツーと頬を伝うモノを抑えられなかった。
「おい、どうしたんだよ…?」
「う、ううん・・・
ちょっと…、眼にゴミが入って…」
ゆらゆら揺れる視界をクリアにする為、指でササッと涙を拭った。
「蘭…、眼にゴミが入ったなんてウソだろ?」
「っ…、ち、違うよ!」
「その割には、眼が充血してないけど?」
涼太くんの鋭さは、大学時代と何も変わっていなくて。
私の咄嗟のウソなんて、やっぱり突き通せる訳がないらしい…。
「話してみろよ…力になるから」
「え…、あの…」
真剣な面持ちの彼に、どう返していいのか躊躇っていたトキ。
「あいにく、その必要は無いから――」
あまりに清涼な声が、鼓膜を揺らしたの・・・