続きは、社長室で。2
“うん、彼と結婚するの!”
そう胸を張って紹介出来ないのは、なぜ…――
「蘭、どうなんだよ?」
「・・・・・」
再度尋ねてきた涼太くんから視線を逸らすと、俯いてしまう私。
婚約者だと名乗り出てくれた貴方に、申し訳が立たなくて・・・
「…蘭の知り合いのようだが・・・
これ以上の詮索など、君には不要だろ?
もう失礼させて頂く――」
「はっ・・・?」
いつもとは段違いに冷たい、抑揚のない声色を響かせると。
訳が分からないという感じで、呆気に取られている涼太くん。
「蘭、行くぞ」
「っ・・・」
そんな彼を尻目に、肩を抱く手の力を強めて歩いて行く拓海。
ドキドキと高ぶる鼓動と、ギューッと締め上げられるように疼く鼓動。
触れている箇所が熱を帯びつつ、それらが犇めき(ひしめき)合っていた。
「早く乗れ」
路肩に停められていたランボルギーニへと、強引に押し込められると。
初めての荒い運転に、静かな怒りを感じ取る外無かった…。