続きは、社長室で。2
媾解の、始まり。
だけれど私の意志と反して、“拓海キャッスル”に滑り込んだランボルギーニ。
大袈裟なほどガタガタ震えてしまう手が、心のパニック具合を表している中で。
朝と同じく、跳ね上がるように開かれたドアが車外へ出ろと促してくる。
「蘭…、早く出ろ」
「っ…、は、い…」
ようやく口を開いた拓海の言葉も、逃げられないと釘をさすモノになって。
俯き加減のままで、鉛のように重い身体を動かす外なかったの…。
「行くぞ――」
「・・・・・」
その言葉にも返事をするコトも出来ず、無言のままに歩き始めたけれど。
とても彼の隣を歩けない私は、ワザと歩調を落として後ろに続いていた。
“プライド無しの軽い女”
グルグルと駆け巡る言葉が、折れそうな心を歪ませていく・・・
本当に私は…、拓海と結婚出来るのかな――?
グイッ――
立ち止まった私の腕を、強引に自分の許へと引き寄せた拓海。
「何してるんだ、行くぞ!」
「っ・・・」
射るような鋭い視線と怒気を含んだ声色が、グサリと胸を貫いた。