続きは、社長室で。2
開いた扉の向こうには、ソファに掛けて仕事をする桜井さんの姿があった。
「おっ、早かったじゃん?」
手にしていた資料を置くと、こちらに笑いかけていたのだけれど。
「悪い…、席外してくれ」
「…あぁ、分かった」
拓海の言葉でソファから立ち上がり、机上の物を素早く纏めてしまう。
そうしてドア付近で佇んでいる私たちの元で、一旦立ち止まった。
「蘭ちゃん、安心したよ?」
「あ…、申し訳ございません…」
「そんなの別に…って、もう行くわ!」
桜井さんの言葉に平身低頭で謝ると、何故か彼は慌てて退出してしまう。
バタンッ――
閉ざされた重厚な扉が、瞬時にピンと張り詰めた様相へと変えていた。
「来い――」
「・・・っ」
一言発したあとで、そのまま秘密の部屋のドアへと連れられていく。
ピッ――
指紋認証キーが解除されると、社長室より重厚な扉がゆっくり開いた。
バタンッ――
外部と一切の遮断をするように、扉が閉まる速さは忙しないけれど・・・