続きは、社長室で。2
“俺はデキた人間じゃない”
この言葉の意味は、何だと言うの…――
尋ねる気力を失わせるほど、間近でブラウンの瞳に捉えられていて。
触れそうで重ならないキョリが、鼓動の高ぶりを一層増していた。
「ンッ…、ふっ・・・」
そうして今度はゆっくりと重ねられた唇が、私の熱を呼び戻していく…。
先ほどはあれほど抵抗をしていたのに、“いつも”のようにされては。
彼のスーツにギュッとしがみついて、微量なキョリを自ら無くしてしまう。
此処でもズルいのは、私だというのに・・・
「ンンッ…、ぁっ…」
唇を重ねたままで、プチン、プチンと音を立てて剥がされるスーツ。
身に纏っている物が減っていく度に、心までもがスーッと軽くなっていた。
「っや、あぁ・・・」
私のすべてを知り尽くした、拓海のしなやかな指に翻弄されていて。
その巧みな動きに反応する度、身体の芯からますます熱くなるの…。
「ったく…、罰にもならねぇ…」
珍しくチッと舌打ちをした拓海から、優しい愛証が降り注いだ・・・