続きは、社長室で。2
「っ…、ひっ・・・」
泣きじゃくる私を抱き締めたまま、髪を梳くように撫でてくれて。
不安や苦しみが泡沫のように消えるほど、拓海にギュッとしがみつく。
「泣き虫だな、ホント…」
「・・・っ」
耳元を弄るような清涼な声が、ドロドロした想いを簡単に解きほぐしていく。
中途半端なままで肩にかかったシャツと、意味をなさないランジェリー。
はだけた胸元から感じるのは、ホワイトムスクの香りと不規則な心音だけ。
乱れた姿のままだというのに、なおも眼前の厚い胸から離れられないのは。
ふわりと包み込んでくれる、優しすぎる貴方のせいにさせて・・・
「それで…、どうして逃げた?」
「っ…、それは…」
泣きすぎて重たい瞼を、バチバチと忙しく瞬かせて答えかねていた私。
先ほどのような冷たさはゼロだとしても、言葉にするのは憚られていて。
一定のキョリを置かれて、ブラウンの瞳で捉えられれば余計に言えナイ。
「…言わないなら、身体に聴かせて貰う」
「なっ…、ンンッ――」
拓海らしからぬ言葉のあとで、再びベッドへと身を沈められた…。