続きは、社長室で。2
愛想の、始まり。
トンと押し倒された瞬間、ハラリと肩からすり落ちていくシャツ。
組み敷かれた私の上に、ホワイトムスクを漂わせて圧し掛かる拓海。
微妙なキョリ感を保ったまま、ブラウンの瞳でジッと見下げられていて。
そう捉えられるだけで、ドキドキと高ぶる鼓動が制御不能に陥っていく…。
「言わないなら・・・
手加減するつもり無いから」
「っ――」
顔を近づけられると耳元では、清涼な声がどこか妖しく木霊した。
すると拓海の大きな手が、私の頬をそっと撫でるように弄り始めて。
「どうする…?」
「っ・・・」
此処が最後のチャンスと言わんばかりに、疑問符を投げ掛けてくる。
身体を駆け巡る熱と彼の表情のせいで、ますます答えられずにいると。
「へぇ・・・」
「っ、や…」
怒りを秘めているのか、それともこの状況を楽しんでいるのか。
口角をキュッと上げて一笑している彼が、私には分からない…。
そうして耳元にキスを落とされ、解答権は剥奪されてしまった。