続きは、社長室で。2


パリッとしたシーツに身を包んだまま、引き寄せられている状況で。



何も身に纏っていないうえ、要求を呑んだ私はどう見ても不利だ…。





「一体、誰に何を言われた?」


「っ…、な、にも・・・」


その瞳で捉えられるコトが弱点だと、解っていて投げ掛けてくるから。



燻ぶり続けていた炎が、ふたたびボッと灯されていくのに…。





「それなら…」


「っ…、ただ…、悲しかったの!」


答えかねている状況で、さらなる選択肢を持ちかけられては堪らない。



「悲しかった…?」


その言葉の真意を探っているのか、こちらの様子を窺う拓海。




「ゴメンなさい・・・

本当は、桜井さんに妬いただけなの…。

私は、イラナイのかなって…」


まずは謝って気を落ち着かせると、ポツリと紡ぐように発すると。



「それは違う――

蘭がいたから俺は頑張れたって、言ったよな?

早く一緒になれるように、祐史が裏でしていただけだよ…」


「うん…、ゴメンなさい…」


静かに言葉を制したあと、優しい清涼な声色で諭してくれた。




< 68 / 226 >

この作品をシェア

pagetop