続きは、社長室で。2
奥様からの条件を知らなかったトキは、ずっと続くと思えた秘書の仕事。
何も出来ていなかった自分が不甲斐なくても、受け入れなきゃダメだ。
それらすべてが、私と拓海の結婚の為なのだから・・・
「うん…、街に出て頭が冷えたみたい。
勝手に抜け出して、本当にゴメンなさい…」
ドロドロした感情を伝えるのは、此処までで留めておいた。
社内での一件を伝えれば、拓海と社員がギクシャクする恐れもある。
それに甘えてばかりでは、ズルくて弱いまま前に進めないもの…。
言わないコトも、私なりの愛証だから・・・
「俺の頭は冷えてないけど…。
さっきのヤツ、誰だよ?」
「…え、…涼太くんのコト?」
並んで寝転んでいた体勢から組み敷かれ、不意に尋ねられたけれど。
「ハァ…、まったく――」
珍しく溜め息をついた貴方に、不謹慎にも心が和んでいたの。
妬いてくれた気がして、嬉しくなったから…。
離れていた分だけ、埋められないキョリと時間があるのに…。
このトキ互いに伝い合えていれば、違っていたのにね――