続きは、社長室で。2
身体を預けている広い胸の心音と、歩を進める度に感じる微かな振動。
独りで向かっていた場所へ誘われているとは、どこか信じられなくて。
嬉しさで泣き止めナイ私は抱っこされたまま、シャワールームへと到着する…。
「ゆっくりして来いよ」
「っ、ありがとう…」
耳元で囁かれれば、清涼な声色に鳥肌が立つほど反応してしまった。
先ほどの乱暴な抱き方とはチガウ、壊れ物を扱うように下ろされて。
どこか名残惜しく思うのは、私の成分が拓海で出来ているから…。
ドキドキと高ぶる鼓動が、身体に残る気だるい余韻を強めたせいで。
地面に足がついた途端、不覚にもフラリとよろめいてしまった。
グイッ――
そんな私の腕をすかさず引っ張ると、体勢を整えてくれる。
「辛いなら手伝うけど…?」
「っ…、だ、大丈夫!」
弱点を攻め立てるように囁く拓海に、恥ずかしさでまた視線を外せば。
「冗談だよ、それこそ我慢出来なくなる…」
「ッ――!」
フッと妖しく一笑して、シャワールームを退出されてしまう。