続きは、社長室で。2
こちらのコトまで考慮してくれる貴方に、何も言える訳ナイのに。
戯言まで受け入れてくれる寛大さに、心がギュッと締め上げられて。
ギュッ――
ホワイトムスクの香りに縋るように、背中に手を回して抱きついた。
「っ、ありがとう…」
何に対してのお礼なのかは、自分でも解らなかったのだけれど。
ここ数日はきっと、私の一件で仕事を滞らせていたハズ。
役立たずな秘書だとしても、貴方の多忙さは誰より知っているから…。
「フッ…、こっちもありがとう」
「っ・・・」
頭を撫でてくれる手と鼓膜を揺らす声色に、嬉しさが込み上げて。
伝えるコトも時には大切なのだと、教えられたの…――
「何かあれば、すぐに連絡くれよ?
それじゃ、おやすみ――」
「うん、おやすみ…」
こうして私を実家へと送り届けて、颯爽と走り去ったランボルギーニ。
別れる最後に、深いキスの余韻とアトをしっかり刻まれたというのに。
あれほど縮まったキョリが、埋まらなくなるなんて・・・