続きは、社長室で。2
錯雑の、始まり。
ヒトはすぐに変われるほど、都合よく出来ていないモノだと思う。
貴方に伝えなければいけないコト、聞かなければならないコト…。
離れていた年月だけ、どうしても知り得ない過去があるというのに。
もう二度と離れられナイ…、拓海無しには生きられナイ…。
こう断言出来るほど、命尽きるまで不変のキモチが此処にはあるけれど。
想えば想うほど、なぜキョリは広がっていくのかな・・・
「蘭ちゃん、これはどうかしら?」
「え…、えぇ・・・
大変よろしいかと…」
美しい奥様には、どれを合わせても似合うのだけれど…。
「あら、本当!?
近藤さん、こちらも押さえて下さいね」
「かしこまりました」
手に持っていた物を近藤さんに渡すと、すぐに別の品を手に取っていて。
「あら、これも可愛い・・・
蘭ちゃん、これもピッタリよ!」
「え…、あ、そんな事…」
今日の天候のように、じつに晴れやかな表情をしている奥様。
元の整いすぎた顔立ちを、さらに際立たせる笑顔が眩しい…。