続きは、社長室で。2
お値段は気にしないでと言われても…。
庶民と東条家の、感覚のチガイを知っただけで…。
普段の買い物とは、ゼロの桁が1、2コ違うもの・・・
「今日のお買い物はこれくらいにして…。
そろそろ戻りましょうか?」
「え・・・」
私の反応にフフッと笑ったあと、ショップを出てしまう奥様。
そのあとを追うように、私と近藤さんとデパートの重役が続いた。
専属運転手さんの構えるBMWに乗り込むと、静かな発進で走行を始める。
4ドアよりも、スポーツタイプに慣れている自分に気づきながらも。
隣席に座る奥様の考えが読めないまま、疑問だけが膨らんでいた。
「私も結婚する時に、学ばせて貰ったけれど…。
東条家には、様々な所で“しきたり”が隠されているのよ。
先ほどの買い物にも、実はきちんとした意味があったの」
「…意味、ですか?」
暫くして発せられた言葉に、反芻して返すのが精一杯だった。