続きは、社長室で。2
「っ・・・」
玄関から出て来た人物に見つからないように、迷わず踵を返した私。
木陰に身を寄せると、前方の2人の行く末をジッと凝視してしまう。
宙を舞うようにドアが開いたあと、ランボルギーニ独特のエンジンがかかって。
軽快な発車音を轟かせながら、そのまま颯爽と駐車場を走り去って行った。
木に凭れていた身体を起こしながらも、先ほどの光景が目に焼きついていて。
いつしか小刻みに震えていた手が、モヤモヤした感情を助長してしまう…。
柔らかな表情をして、親しそうに話していた2人・・・
拓海…、助手席に乗ったヒトはダレ――?
「・・・っ」
貴方を信じているのに…、愛おしくて仕方がナイのに…。
どうして内心では、疑るような疑問が生み出されているのだろう。
ダメじゃない…、来社するなんて取引先の方よね…?
何考えているんだろう、ホント・・・
拓海キャッスルに背を向けると、そのまま来た道を辿って行く私。
貴方のイナイ社長室には、行く意味がナイから・・・