続きは、社長室で。2
疑団の、始まり。
私は何かしらにつけて、心配の種を自ら増やす面倒な性質だと思う。
それなのに意地っ張りだから、1人で抱えて溜め込むという厄介なモノで。
だけれどソレが、私なりに貴方の後ろをついて行く処世術だった。
拓海に頼って、甘えて、ずっと一緒にいたい・・・
そうして駄々を捏ねた昔を思えば、少しは成長したと思い込んで…。
いつしか貴方の優しさに縋りついて、見失っていたとも気づかぬまま。
その不穏の種を取り去れぬほど、土壌で育成させていたとも知らずに・・・
「らんー、ねぇってば!」
パンと柏手をひとつ打つ音が、静かなカフェに響き渡った。
「えっ、な、なに?」
乾いた音と大きな声に驚いて、バチッと目を見開いて正面を見た私。
「私の話、聞いてなかったでしょ!?
なんか会った時から、ずっとボーっとしてるし」
「ご、ごめん・・・」
するとジッと横目で捉えられて、しおらしく肩を竦めて謝ったけれど。
「もう慣れっこよ」
「…それはゴメンね」
フフッと笑われて、何となく悔しいのは気のせいではナイと思う。