続きは、社長室で。2
何年経っても、この子には頭が上がらないもの・・・
「トリップ癖が直らない方が、蘭らしいわよ?
自慢のカワイイ親友だもん」
「ハイハイ、ありがと…」
「どういたしまして?」
いつものように無理矢理締めると、優雅にティータイムを再開させる彼女。
私もグラスが汗をかき始めたアレンジティーで、ひんやりと喉を潤わせた。
マイペースな彼女は中等部以来の親友、増田 菫(マスダスミレ)。
お互いに花の名前を持っていたコト、そんな共通点が私たちの始まりで。
それから大学の学部まで一緒だった菫は、私にとって一番の親友である。
「それで、今日のトリップ具合は…。
また東条さん絡みなんでしょ?」
“また”をプラスされて、始めから選択肢などナシで尋ねられた。
「…ちがうよ、ちょっとボーっと…」
誘導尋問に引っ掛からないように、視線をグラスに落として答えた私。
ストローでマドラーのようにかき混ぜると、氷がカラカラと音を立てた。