続きは、社長室で。2
拓海と女性のアノ光景を見てから、もう2日が過ぎていた。
その翌日から、奥様からの直接伝授を優しく教わっているけれど。
今日は奥様の予定が入り、午後からフリーとなってしまった私。
そうして専業主婦をしている菫と、久しぶりにお茶をしているのだ。
「…してただけなら、溜め息はつかないわよ。
蘭はね、昔からウソが下手すぎんの」
「・・・」
どんなに隠そうとしても、彼女にはどうしてかすぐにバレてしまう。
探りを入れるのが上手ければ、核心を突くのも上手いから困りモノだ…。
「ごめん、菫…。
東条の“しきたり”が覚えられずに落ち込んでただけなの。
だから大丈夫、ありがとね」
「ふーん、そう…。
でも、何かあったら言いなよ?」
「うん、ありがとう」
明らかな言い訳にも深くを追求しないのが、また彼女の良い所で憧れる。
“なんで私に相談しなかったのよ!?”
菫には、後藤社長の件を事後報告をして怒られたばかりだけれど。
ごめんね…、口にして不安をカタチにしたくなかったの…。