続きは、社長室で。2
どうしてヒトは、何度も同じ過ちを繰り返してしまうのだろう?
そう解って、誓いを立てつつ、なぜその場では忘れ去ってしまうの?
必死で別離を告げたトキ、後悔先に立たずと学んだハズなのに・・・
「理沙子さん、これで良いのでしょうか…?」
「えぇ、そうよ。
本当に物覚えが良いわね!」
「そ、そんな…」
菫とのお喋りを楽しんだ翌日は、朝から理沙子さんに生け花を学んでいた。
【日本古来の伝統文化を重んじて、精通する人であれ】
東条家の“しきたり”のひとつである、この言葉が元なのだ――
花は観賞するものと思っていたし、いま触れているコトが不思議でならない。
だけれど意外にも楽しくて、日本文化の奥深さにも少し触れた気がしていた。
無知で不慣れながらも、もっと色んなコトを頑張りたいと思えるほど…。
「実は私、昔は生け花が苦手でね?
お義母様には何度も注意されたのよ」
「えっ!?」
「お花が好きって言いながら、変でしょう?
素晴らしさが分からなくて、一番苦手だったの」
そう笑って流してしまう理沙子さんに、ただ驚かされるばかりだ。