お姫様と7人の王子様
「お気に召しませんでしたか、アリス様が最近チョコケーキを作っている姿を度々見かけまして、アリス様が好きなものかと思っていましたので……。」
私の不思議そうな顔が気になったのか、そう照れながら言う彼の台詞。
自分のことを考えてくれている……。
そう思うとまた少し恥ずかしくなる。
「ううん、美味しそう。早く食べたいな」
「はい」
そう言うとすぐさま彼は、包丁で切り分け、お皿に盛る。
それをフォークとともに私に渡す。
「初めてだったので、自信がないのですが……。」
少し不安げに言うティック。
たったままだとお行儀悪いとは思いながら一口食べてみる。
”ぱくっ“
おいしい……。
もしかしたら私の作ったのよりもおいしいかもしれない……。
そのせいか、嬉しいような切ないような、微妙な気持ちになる。
「アリス様……お口に合いませんでしたか?」
私の些細な表情の変化に敏感な彼が気付かないわけはない。
やっぱり心配そうな顔で聞いてくる。