お姫様と7人の王子様
クリスマス(ビル)
ホワイトクリスマスの贈り物
深々と雪が降っている
現実では滅多に見ることのないその幻想的な光景に心奪われるように外に出て行った。
触れるたびに冷たさが伝わってきて、その度にこの光景が現実だと感じる。
「そんな格好では風邪を引いてしまいますよ」
子供のように体中に伝わる雪を感じていたら、雪とは正反対のとても温かい声が鼓膜に伝わってきた。
「ビルさん」
振り向くとそこにはいつもの燕尾服に厚手のコートを羽織ったビルさんが、私のコートを持ちながら立っていた。
「雪が珍しいので」
「そう……なのですか?この国ではクリスマスに雪が降るのは当たり前ですから、あまり気になりませんでしたね」
驚いているのか目を少し開かせながら私の元へやってくる。
そして私の目の前に来ると寒いですからねと私にコートを差し出した。
クリスマスに雪が降るなんてどんな幻想的な国なのだろう……流石ふし……いや今日みたいなロマンティックな日に現実的な話は止めておこう。
「まるで……夢見たい」
滅多に見ることのない雪に私は心奪われていた。
全てを白く染めるようなそれが見ていてとても美しかった。
「夢……ですか。そしたらそんな素敵な夢に私はお邪魔して構わないでしょうか?」
目が合った瞬間クスリと優しく微笑んだ。
“ドキ”
その瞬間心臓が跳ねた様な気がした。