お姫様と7人の王子様


「?」


未だに状況の読めていない縲の横で、淡々と無表情で何かをしようとする彼。
そんな彼が少し気になり、先程まで木に留まっていた彼女の視線はボウに移動していた。


“ポキッ”


そんな彼女の視線など全く気にせずにいすに乗っかると、ぎりぎり自分の届く枝に手を伸ばすと、小枝を折った。
反動で舞い降りた花びらが彼の黒いコートにふわりと落ち、綺麗な桃色に染まった。


「これお姉さんにあげる」


花びらを払うと、微笑みながら今折った小枝を渡した。


「こんなことしたら駄目でしょう」


ボウから小枝を受け取りながら、ため息まじりで困ったように言う縲。


「お姉さんが気にかけてくれたお礼だよ」


そんな彼女に対しボウは今度は妖艶な微笑をしながらいうと、木に視線を移動させた。


「ありがとう」


ボウの発言に少し驚きながらも、微笑みながらそう言うと彼同様に視線を木に移動させた。


「この木が綺麗なことに気付いていなかったから」


そう縲が気づかないような大きさで呟いた。





END
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