バクチの樹への送りうた
バクチの樹への送りうた
鳥居は血の赤がはげる色
桜の下には砦が二つ、
緑の木々が囲んでおわす。
桜の名前は一つ一つあり
犬が上と下で駆け回る。
蜘蛛の子や鳥居の中で身をひそめ
天狗の面や対になる
人がかぶれば天狗の舞。
二人で踊れば双天狗。
女子がかぶれば狐になり
バクチの名がある木へと飛ぶ。
人の子や鏡に映る人を見り四人、顔を合わせ見る。
鏡や久しく人を見り
狐の女子を見つけほころぶそう。
桜が舞う中
黒浴衣の狐が苔を踏む。