脱走犬物語
ボクが、そん時、たびたび旅に出ていたのは、人間でいう、思春期だったからでしょう。けんちゃんだって、学生のときに、色々旅行したみたいだし(リビングには、けんちゃんの旅行写真が貼られてあります)、それと一緒で、ただボクもいろんな世界を見たかっただけだったんです。たとえ家の近くのちょこっとだけでも、散歩ヒモじゃなく自分の脚でかけずりまわりたかったんだけなんです。信じてほしいのだけど、家がイヤだったわけでも、
好きな子ができたわけでも、のら犬になりたかったわけでもないんです。現に、それからずーっと、旅に出ることは無かったしね。ボクは、そん時よく「脱走犬」とあだなされていました。けんちゃんは笑って、お友達にボクが脱走して大変だった時のことをよく話していました。あの時は、そう、ボクはたしかに好奇心旺盛で、暴れん坊で、体力も今より100倍くらい、あったんだよね。だけど、今回は違うのです。
好きな子ができたわけでも、のら犬になりたかったわけでもないんです。現に、それからずーっと、旅に出ることは無かったしね。ボクは、そん時よく「脱走犬」とあだなされていました。けんちゃんは笑って、お友達にボクが脱走して大変だった時のことをよく話していました。あの時は、そう、ボクはたしかに好奇心旺盛で、暴れん坊で、体力も今より100倍くらい、あったんだよね。だけど、今回は違うのです。