今日から執事
触れると冷たい感触をもたらすネックレス。
以前に真斗がくれたものだった。
早綺を裏切らないと誓ったあの日あの時、優しい瞳で早綺の首につけてくれたものであった。
『調べて分かったことは、そのネックレスはどうやら宇津木の母親が身につけていたものだったの。
宇津木の父親が初めて母親に渡したもので、言ってしまえば婚約指輪より大切で、二人の原点とも言えるもの。
飛行機事故のとき、宇津木の両親が二人で握って亡くなったと…』
二人の原点。
何故そのような代物をトラックの事故のとき、真斗が握ってあたのか。
それが何かの鍵になるのか?
『宇津木の両親の物が宇津木自身に渡り、更に桐谷に渡った。そう考えるのが妥当よ。
恐らく、ネックレスがトラック事故の根底にあるのかも知れない』
アンが強い口調で断言した。
早綺も同じ事を考えていて、アンの考えに頷く。
真実は直ぐそこだ。
だいたいは分かった。だがまだ真斗の核心にはたどり着いていない。
そのためにも、たどり着くためにも、早綺はこれからも調べる必要がある。
後戻りは出来ないと。しないと自分に言った。