今日から執事


『もうあたしから早綺に伝える情報は無いわ。
…早綺、ここまで来たらしっかりと最後までやり遂げなさいよ。途中で放り投げたら、あたしが許さないわ。あたしの時間と労力を無駄にしたら、どうなるか分かってるでしょうね?』


幾らか大きな声でいう。
アンなりに励ましているのだと知れた。


「平気。分かってるし、途中でなんか止めないよ」


『まぁ殴る蹴るくらいはしなくちゃね。
…それから、宇津木の居場所、載せておいたから。どうせ行くんでしょう?
あたしが出来るのはここまでよ。じゃあ、またね早綺。真斗くんと絢音ちゃんと向き合って…』


そう言い残してアンの音声は終わった。

早綺はそのまま下にページをさげる。


するとそこには住所のようなものが載っていて、それだけで早綺は理解できた。


アンは早綺がしようと思っていたことを明確に読み取ってくれたのだ。

そして先回りしてくれた。


自分の良き理解者がいて、早綺は幸せに思う。


そういう人物が、絢音さんには居たのだろうか。



< 119 / 121 >

この作品をシェア

pagetop