今日から執事


その瞬間、早綺の中で何かが弾けた。


次第に湧いてくる怒りの感情。
今までは悲しみや戸惑いといった感情が主だったが、此処へきて初めて感じる怒り。


早綺は昴の言ったアメリカで会った女性というのを考える。
おそらく、彼女は心から昴を愛しているのだろう。
きっと、自分以上に。


そんな女性を昴は裏切ろうとしているのだ。
ちょうど早綺がうけているように、酷い言葉を並べ立てて女性を悲しませるのだろう。


それが許せない。

自分以外にも、昴に同じ様に傷をつけられるのかと考えると、目の前のほくそ笑んでいる男を許すわけにはいかなかった。

そう思った時には、早綺の手の平は昴の頬を打っていた。




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