今日から執事
最近、早綺がどうにもおかしい。
行動が、という訳ではないが、不審な点が多すぎる。
以前のように、真斗をからかって小馬鹿にする態度をピタリと止めたし、日中は自室に篭もりきりで、たまに部屋から出てくると思えば真斗とは目も合わさずに用件だけを述べる。
真斗は早綺専属の執事であるから、他の者よりは格段に会う機会が多いのだが、寧ろ話す機会は真斗の方が少なかった。
そう。それもこれも、あのパーティーの直後に急に起きたことである。
原因はパーティー時の早綺と昴の会話にあるのだろうと、いくら真斗でも気付く。
いっそ分かりやすい程に不審だった。
真実を、聞くしかない。
真斗は固く決心した。
おかしいというが、それは真斗だけに対する態度であり、真斗も早綺に避けられていることは重々承知だった。
だからこそ、真斗は早綺と面と向かって話し合う必要があった。
そのために今、こうして早綺の自室の前へと足を運んで来たのである。