今日から執事
重石となっていた闇を吐き出した早綺は肩で大きく息をしている。
早綺と真斗の間には何の音も生まれていない。
まだ昼間だと言うのにまるで夜にでもなったように辺りは静かだ。
「それで、言いたい事はそれだけか?」
今まで何も話さなかった真斗が重い口を開いた。
面倒だと言わんばかりの顔でだるそうに言う。
「馬鹿にしてるの?」
「いや、全然」
苛立った早綺が低く問うと、軽い口調で否定の言葉が返ってきた。
険悪なムードが漂う。
まさに一触即発といった状況で先に口を開いたのは、意外にも真斗だった。
「馬鹿してないよ。でも、もっと俺に話して欲しい」
「……は?」
さらに文句を言われると思っていた早綺は真斗の思いもよらない発言に耳を疑った。