今日から執事
「そ、そんな事!?」
暫く凍結状態に陥っていた早綺だが、聞き捨てならない言葉に憤った。
一言で片付けるなんてっ。
早綺は内心毒づく。
あんなに一人で悩んで、悩んで。
誰にも言えなかった気持ちを踏みにじられたようで悔しい。
自然と浮かんだ涙を抑えるように唇をきつく噛み締める。
早綺が無意識に放つ負のオーラに気がついたのか真斗が慌て始める。
「ごめん。謝るから。
でも、実際そんな事だろ?」
この期に及んでまだ言うか。
早綺は睨めつける。
けれど、真斗が急に静かで慈愛に満ちた眼差しになったものだから。
早綺は自分が睨んでいたことも忘れて真斗に見入る。