今日から執事
すっぽりと真斗の腕におさまった早綺は、戸惑って何とか逃れようとしていたが、暫くすると大人しく真斗の腕に抱かれた。
それが面白くて、真斗はまた笑みを漏らした。
「笑って頂けますね?」
もう一度はっきりと言えば、早綺は腕の中で強く頷いた。
「俺が新崎昴の穴を埋めます」
そう、決意したのだ。
この想いを明かさず、早綺を支える。
そう、決意した。
だから、自分もここで歩みを止めてはいけない。
過去を忘れて現実をちゃんと見るのだ。
その覚悟を込めて、真斗は早綺にネックレスを渡したのだから。
真斗は、こうして早綺に触れられていることが嬉しかった。
その一心で真斗は早綺をより強く腕に抱く。
途中で背中に温かな手が触れたような気がして、真斗は静かに瞼を閉じてその温もりを感じた。