今日から執事
「……」
サイズはこちらで調べたとはどういう意味だろうか。
言葉通りならプライバシーなんてあったもんじゃない。
真斗が樫原財閥の強さを改めて知った瞬間だった。
確かにサイズはピッタリで身長の高い真斗用に一からあしらえたような服であった。
十七年間の人生のうち一度も燕尾服などに袖を通した事がなかった真斗なので、たかが服を着るのにかなりの時間を費やしてしまった。
白いカッターシャツに白のベスト、黒のネクタイに黒の燕尾。
いつの間にか革靴も置いてあったので、それに履き替える。
部屋にはご丁寧に姿見が設置されていたので、乱れがないかを確認し、外で待っていると言った松山の元へと急ぐ。
ドアを開けると松山はすぐに気付き、こちらに近づく真斗に一度頷いて
「よく似合っていますよ」
と言った。
「それでは行きましょう。
まずは貴方を使用人たちに紹介します。仕事については後程、説明しましょう」
いよいよ仕事が始まるのだ…。