全部、君だった。
プロローグ:春雨 〜追憶〜


6月から2週間の予定で行われる教育実習の打ち合わせのため、母校を訪れた。


私は森下雪枝。

この春、
大学4年生になったばかり。


まだあまり着慣れないリクルートスーツに身を包み、母校の正門の前に立つ。


正門から続く、長くゆるやかな坂道――

坂道の向こうには懐かしい景色が広がっている。


遊びで来たのではないとは言え、懐かしい匂いに心が躍った。



目を閉じれば鮮明に思い出せる。


楽しかった高校時代―――



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