【短編】『愛してる』なんて言わないで



「俺の話は聞いてくれないの?」



「じゃあ、話したら出てって」




「そんな冷たく言うなよ…


俺だって傷つくよ……


俺の中に確かに半年前まで他の彼女が居た。



でも、いつしか俺の中のお前の存在が、本命の彼女より大きくなっていった。



彼女の中にも俺じゃない他の誰かが居た。



だから分かったんだ。



俺が愛してるのは千緩だけだって。



彼女は俺へ愛情はもうないって分かった。



だからさ、彼女から別れを告げられる前に俺から振ったんだ。



半年前から俺の心に住み着いてるのは千緩しかいない。


それをいつ伝えるかずっと悩んでた。



でも、俺以上に千緩の方が悩んでたなんて気付かなかった俺もバカだな…



会う度に好きが溢れだして、その度に千緩のこと抱いてた。



俺が抱いてる時に”愛してる”って行ってたのは決して偽りなんかじゃないよ。



本当に愛してなきゃ言えないって俺今さら分かった。



だから愛してるって言えば千緩に伝わるって思ってた。





< 16 / 18 >

この作品をシェア

pagetop