【短編】『愛してる』なんて言わないで
「俺の話は聞いてくれないの?」
「じゃあ、話したら出てって」
「そんな冷たく言うなよ…
俺だって傷つくよ……
俺の中に確かに半年前まで他の彼女が居た。
でも、いつしか俺の中のお前の存在が、本命の彼女より大きくなっていった。
彼女の中にも俺じゃない他の誰かが居た。
だから分かったんだ。
俺が愛してるのは千緩だけだって。
彼女は俺へ愛情はもうないって分かった。
だからさ、彼女から別れを告げられる前に俺から振ったんだ。
半年前から俺の心に住み着いてるのは千緩しかいない。
それをいつ伝えるかずっと悩んでた。
でも、俺以上に千緩の方が悩んでたなんて気付かなかった俺もバカだな…
会う度に好きが溢れだして、その度に千緩のこと抱いてた。
俺が抱いてる時に”愛してる”って行ってたのは決して偽りなんかじゃないよ。
本当に愛してなきゃ言えないって俺今さら分かった。
だから愛してるって言えば千緩に伝わるって思ってた。