戻れない道
やっぱり現実・・・。

受け取った鏡を見る勇気が、なかなか出ない。

でも見ないと始めらないよね。

もう戻れないんだから。

私は、おそるおそる鏡を覗き込んだ。

そこに映るはずの自分の姿を無意識に想像しながら。

「・・・・・・っく」

夢では無かった。

一瞬で分かった。

長い黒い髪。

白い透き通った肌。

洋風人形みたいにパッチリとした目に、通る鼻に桜の花びらのような唇。

いわゆる、美少女ここにありって顔。

平凡な全てが並盛りな私の顔では・・・無い。

だって、若いし。

中学生か高校生くらい?

私が首を左右に振ると、鏡の中のその子も同じように振った。

鏡だから当たり前なんだけど、それは自分自身だと脳が改めて確認するには必要だった。

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