戻れない道
「大丈夫か?」

青年が不思議そうに聞いてきた。

「頭を打ったからな・・・」

眉をしかめて、こちらを見る。


他の人間の体。自分の体の死。

どうやら、それが現実みたいだ。

もうキャパオーバーで騒ぐ気にもなれない。

さて。これからどうしようかな。

この3人は、この少女の身内なのだろう。

少女がどんな性格か分からない上、分かっていたとしても身内をごまかす事は出来ないだろう。

少女になりきるのは却下・・・てか無理。

妥当なのは、記憶を失ったフリかな。

それが一番無理が無い。

「あの・・・私は誰・・・ですか?あなた方は誰?私を知っているの?」

恐る恐る聞いてみた。

泣いていた女性がピタッと固まる。

年配の男性は目を丸くして同じく固まる。

青年は、軽く首を傾げただけだった。
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