戻れない道
フワリと柔らかい布団に体が包まれて心地いい。

上坂(こうさか)由衣。

14歳。

体の持ち主の情報をつぶやいてみる。

14って事は中学生か。

27歳が今更中学生って・・・・無理。

それ以前に他の人間になるって無理すぎる。

『マーマ。ママ?』

頭の中で私を呼ぶ声がして、ガバッとベットから起き上がった。

「霞(かすみ)・・・・拓人(たくと)」

私の可愛い宝物の名前。

つぶやいて涙が溢れた。

会えない。もう会えない?

あの子達の側にいられない?

一気に現実感が増し、私は声を上げて泣いた。

泣いても泣いても、涙は途切れなかった・・・・。

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