戻れない道
そしてジッと私の目を見つめる。

その視線は威圧的で、私の全てを見通そうとしているように見えた。

確か蓮くんは去年高校を卒業してから、正式に住み込みのお目付け役になったと紹介された気がする。

としたら、18か19歳?

その年で、こんな目をするんだね。

ぶっちゃけ怖いよ。

「あのー?」

「お前・・・誰だ?本当に由衣か?」

びくっと肩が少し揺れてしまった。

本当の事を言ったって信じてもらえはしないだろう。

なら記憶喪失で通す方が楽だし、やりやすい。

「き、記憶ないから・・・」

つい目をそらしながら、言ってしまった。

「・・・そっか。なら記憶が戻るように協力しなくちゃな」

そう言うと、なぜか蓮くんはベットの上に乗ってきた。

私の肩をつかむと、ぐいっと後ろに押す。

あっさりと私の体はベットに倒れこんだ。



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