戻れない道
「・・・凄い百面相してて面白いんだけどさ。俺は由衣の彼氏じゃねぇぞ?」

「えっ!!違うの!!?」

もうてっきり彼氏だと思って、色々想像していたから大きな声を出してしまった。

「お互い、やりたいからしてただけだ。特に意味はねぇよ」

「やりたいから・・・」

「俺も由衣も特定のやつはいない。特に由衣は滅多に部屋から出ねぇしな」

私がガックリと力が抜けてしまった。

いまだに蓮くんは私の上にいるんだけど、そんな事に気が回らない。

「最近の若い子は・・・」

つい口に出してしまった。

「どこのおばさんだよ」

すかさず、突っ込まれた。

仕方ないじゃない。中身は立派におばさんだもの。

家事と育児に追われて、おしゃれだとか恋愛だとかとは無縁の世界に生きてきたのよ。

たいして恋愛経験もないし、周りも大人しい子ばかりで派手な恋愛してる子はいなかったんだもの。

・・・あ、これは恋愛じゃないのか。

彼氏じゃないんだもんね。

・・・遊びってやつ?
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