戻れない道
「・・・で?お前は誰だ?」

「だから、記憶が」

妄想の中にいた私は、蓮くんの声で現実に引き戻される。

「ふぅん。じゃ、ショック療法な」

そう言うと、蓮くんはまた私の首筋にキスをした。

右手で私の胸を触る。

「・・・やっ」

私の体がびくっと反応する。

「・・・お前は誰だ?」

また蓮くんが同じ言葉を繰り返した。

このまま記憶喪失を押し通すと、身が危険な気がする。

「わ、分かった。言います。言うからどいて~~」

「・・・・・・・・」

あっさり蓮くんは体をどかした。

助かった。

私も急いで体を起こす。

やばかった。

由衣ちゃんは慣れてるのかもしれないけど、私には無理。

「で?」

蓮くんは先を促した。

「うん・・・話すけど・・・信じてはもらえないと思うよ?」

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