偽装☆ROMANCE [中編]
「用事…あるよ?暁名くんも、あったみたいだね。ごめん。なんか…みつけちゃって。」
綺良は笑って言った。
「俺は別に…」
タツなら一人でもなんとかするだろうし。
そもそも、そんな大切なことじゃない。俺にとっては綺良に会う方が何倍も大切だし。
「戻りなよ!お友達と居たよね?待ってるよきっと!」
そう言って、俺の背中をぐいぐい押してくる。
「ちょっ…待った、綺良!」
やっと見つけたのに、帰ってたまるか!と思ったんだけど。
「私のことは気にしないで!…ごめんね、今日断って。」
背中から聞こえてくる、寂しそうな声に、俺は立ちすくんでしまって。
「ばいばい」
そう言って、背中から手が離れたのに振り向くことが出来なかった。