偽装☆ROMANCE [中編]
そこで、言われた言葉で気が付いた。
「なに〜?由良らしくないじゃん☆嘘だよ。こんなのどうってことないし!」
そうだった。
由良ちゃんなんだった。
綺良じゃないんだよ。
今したことは、全部由良ちゃんの物なんだ。
危ない。見失うとこだった。
「なによー!私だって謝るからねー!」
由良ちゃん、ぽく言う。
「はいはい。じゃあそろそろ昼メシ食おー!」
時計を見るともう14:00だった。意外に進むの早いな…。
「うん!叫びすぎてお腹減ったしね!」
「やっぱ叫んでたんじゃん(笑)!」
「あ…。」
そう言ってまた笑う暁名さん。
…その笑顔が。
私に向けられたものだったらよかったのに。
あんな風に、逃げなきゃよかった。
でも、今日私に会って「由良ちゃん」になってるとはいえ何も気付いてないってことは、
あの日のことも覚えてないってことか。
なんでかな…?
好きとかじゃないはずなのに…
胸が苦しい…。