偽装☆ROMANCE [中編]
嘘の限界
列に並んでいる間、私はゆっくりと大きく回る観覧車を見て考えていた。
隣では、暁名さんがなんか、楽しそうに話してる。
この列に並んでいるカップルのうち、「偽物」のカップルは何組くらいいるんだろう…?
きっと…いないよね。
私の隣に立っているのは、私のお姉ちゃんが、好きな人。
そして、隣にいる人は私を「私として」見ていない。
私に、由良ちゃんを写して見てる。
でも、私にとって隣にいる人は、ずっとずっと憧れだった。
柄にもなく、行動起こしちゃうくらいに。
だけどきっと私の想いは届かない。
なぜなら、隣にいる人の頭の中に、「綺良」の記憶は少しもないから。
すべて「由良」。
もしかしたら、あの事件でも。
当然、今でも。