偽装☆ROMANCE [中編]
「俺、好きな人いるんだ。」
「うん。」
暁名さんの瞳に、吸い込まれそう。
「今、俺の目の前にいる人。」
オレンジ色の夕日に照らされて、暁名さんはまっすぐに、そう言った。
「…うん。」
そっか。 やっぱりね。
暁名さんは、由良ちゃんのこと好きだったんだ。
良かった……な。
「…で?」
「……で??」
「返事…は…?」
返事は…。
もちろん…。
「あたし…も。好き。」
そう言うしかない。
これが、由良ちゃんの気持ちなのか、私の気持ちなのか、わからなくなっていた。